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祖母の一周忌があった。天気は快晴、というかもはや猛暑。集まってくれた親族は20名ほどで、法要のあとは会食という流れだった。
俺は施主だったんだけど、会場やお膳の手配は叔母が全部やってくれてしまった。本当にありがたい。せめてもの気持ちとして御仏前を包ませてもらった。ちなみに一周忌は四十九日を過ぎているから表書きは「御仏前」、墨は薄墨じゃなくて普通の濃い墨。当日までちょっと迷ったので、同じ立場になる人の参考になれば。
会食では献杯の挨拶とお開きの挨拶をやらせてもらって、あとは叔父や叔母から祖父や祖母の昔話をところどころ聞くことができた。祖母は昭和6年生まれの享年九十五。長生きだった。俺にとっては、いつも優しく甘えさせてくれる、いい祖母だった。
それで今回は、この一周忌で聞いた話や俺自身が見てきたことをもとに、「老い」について書いてみようと思う。祖父、祖母、そして父。家族三人の生き方と最期を振り返ると、これからの自分がどう生きるべきかが見えてきた気がする。
🧠 記憶力抜群だった祖父と、Die with Zero
まず祖父の話。祖父は大正15年8月生まれで、2018年2月に亡くなった。満91歳、享年九十三。こちらも大往生だ。
戦時中の学生時代には主席を取ることもあったらしく、頭の記憶力は相当良かったと聞いている。戦後は国家公務員として働き、朝6時には電車に乗って、帰りは深夜近く。父は子供時代、祖父とあまり顔を合わせたことがなかったそうだ。昭和の猛烈な働き方そのものだと思う。
その分、年金はかなりもらっていたようで、晩年の祖父の散財はなかなかのものだった。パチンコやがん保険に、あまり考えずにお金を使ってしまっていたらしい。でも見方を変えれば、これはまさに「DIE WITH ZERO」の達成者だ。資産を残して死ぬんじゃなく、使い切って死ぬ。本人がどこまで意識していたかはわからないけど、若いときに死に物狂いで積み上げたものが老後を支えた成果であることは間違いない。もらっていた年金額が上位層だったからこそできた芸当でもあるので、誰でも真似できるわけじゃないのが現実だけど。
そんな祖父も、亡くなる2年前くらいからボケが始まっていた。あれだけ記憶力の良かった人でも、老いには勝てない。ただ、現役で自分の頭と体で動けた時間はかなり長かったと思う。
🌸 祖母の老いは、脳梗塞と祖父の死から始まった
次に祖母の話。祖母は判断力に長けた人だったんだけど、2015年くらいに脳梗塞を患ってから、そのあたりを境に徐々に低下していった気がする。
そして決定的だったのが、2018年に祖父が亡くなったこと。そのあたりから記憶力の低下が目に見えて進んで、話が通じることが少なくなっていった。ちょうど俺が結婚した頃で、結婚の報告をしても、結婚式のことを話しても、よくわかっていないような感じが伝わってきた。あれは正直、切なかった。最終的には、過去の話しか思い出すことができなくなってしまった。
あとから調べてわかったんだけど、この流れは研究でも裏付けられている典型的なパターンらしい。高血圧や糖尿病で脳の細い血管がつまると認知機能が低下しやすくなるし、配偶者との死別も認知症の引き金になることがわかっている。千葉大の約6万人を対象にした調査では、妻を亡くした高齢男性は認知症になる割合が4〜6年後に2.3倍になったそうだ。長年連れ添った相手を失うと、会話も生活リズムも役割も一気に失われる。祖母の場合もきっとそうだったんだろう。
新しい記憶から失われて、古い記憶は最後まで残る。祖母が昔の話ばかりしていたのは、残された記憶の中で俺たちと繋がろうとしていた時間だったのかもしれない。
🍚 糖尿病でも長生きした祖父母と、突然死した父
ここからが今回一番書きたかったことだ。実は祖父も祖母も糖尿病を患っていた。それでも二人とも90歳を超えて生きた。
その理由のひとつは、間違いなく食生活だと思っている。祖父の家の食事はほぼ決まっていた。朝は卵納豆ご飯に味噌汁、煮物などの付け合わせ。昼はマーガリンジャムの食パン。夕は魚とご飯。今の栄養学から見たら突っ込みどころもあるかもしれないけど、毎日ほぼ同じものを、同じ量だけ食べる。この規則正しさが、糖尿病を抱えながらも長生きできた土台だったんじゃないかと思う。
対照的なのが父だ。父は欲求のままに糖分を摂取して、インスリンを打つ生活をしていた。そして、祖父よりも早く突然死してしまった。
同じ糖尿病の家系でも、食生活と健康管理で結果がここまで変わる。これを身内三人の実例として見てしまった以上、俺は健康管理が何よりも大事だと考えるようになった。無駄に早く死ぬことは、残された家族に迷惑をかける。それがわかっているから、俺は80歳くらいまでは元気に生きたいと思っている。
🏃 80歳まで元気に生きるために、今からやること
じゃあ具体的に何をすればいいのか。このような家族歴がある俺なりに調べてみた。
まず安心材料から。遺伝子が長寿に寄与する割合は約2割で、残りの8割は生活習慣や環境で決まるという研究がある。科学的に裏付けられた生活習慣を身につければ、健康寿命を5〜7年は延ばせるという話もある。糖尿病についても、ウォーキングなどの運動習慣で遺伝的リスクを打ち消せるという大規模研究が出ている。祖父母が糖尿病でも長生きできたのは、まさに生活習慣が遺伝に勝った実例だと思う。
具体的に俺が意識しようと思っているのはこのあたりだ。
運動は「有酸素+筋トレ」の両方。中等度の運動を週150分以上と、筋トレを週2回以上が世界標準の推奨らしい。俺はジョギングの習慣があるから有酸素はクリアしているけど、筋トレが足りていない。筋肉は加齢で確実に落ちて、将来の転倒や寝たきりに直結するから、40代のうちから貯筋しておく。
食事は血糖値対策。野菜から食べるベジファースト、甘い飲み物をお茶や水に置き換える、食物繊維を増やす。あとは減塩。脳卒中の最大の原因は高血圧で、その最大の要因は塩分の摂りすぎだそうだ。祖母の脳梗塞を思うと、ここは他人事じゃない。
睡眠は7時間。睡眠不足は糖尿病リスクも上げるらしいので、夜更かしゲームもほどほどにしないといけない。耳が痛い。
それから意外だったのが、人との繋がりの重要性。社会的な孤立は認知症や早死にのリスクを高めて、その害は1日にタバコを半箱吸うのと同じくらいという証拠が集まっているそうだ。逆に言えば、家族との時間も、友人とのゲームの約束も、先輩との農作業も、全部が立派な健康資産ということになる。これは嬉しい発見だった。
最後に健診。糖尿病の家族歴がある人は、血糖値とHbA1cを毎年チェックするのが鉄則。認知症も、高血圧・糖尿病・運動不足・孤立といった修正できる要因を潰していけば4割は予防や進行遅延ができるという報告がある。老いは止められないけど、遅らせることはできる。
✍️ まとめ
一周忌という節目に、祖父、祖母、父という家族三人の老いと死を振り返ってみた。死に物狂いで働いて使い切って死んだ祖父。脳梗塞と死別を境に静かに衰えていった祖母。そして健康管理の差で早くに逝ってしまった父。三人が身をもって教えてくれたことを、俺はこれからの生活に活かしていきたい。
お金の話でよく出てくるDIE WITH ZEROも、結局は健康な体と頭があってこそ。資産運用と同じで、健康も若いうちからの積立が効く。もし親や祖父母の老いを見て思うところがある人は、一緒に今日から小さく始めてみよう。ジョギングでも、ベジファーストでも、まずはひとつからで大丈夫。お互い、80歳になっても元気に笑っていられるように頑張ろう。
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